美濃戸の香り

美濃戸の自然、特に四季折々の空気が美味しい。その空気をいつもキャッチしようとしているがなかなか捕まらない。でも、いつも阿弥陀岳の容姿がそこにある。そんな美濃戸がいい。

雨にも負けず、しっかり咲くカワラナデシコ 2020.7.4

八ヶ岳総合博物館・自然観察路、今、梅雨の長雨で樹木、そして草花もしっとりと潤っている。そして彩る花も少なく、寂しさを感じる。そんな中、細い茎を長く伸ばし、そしてその先に線香花火のようにピンクの花びらを広げているカワラナデシコが、咲き出した。風で吹き飛びそうな細い茎であるが、しっかりと火花が飛び交う線香花火のような花を支えている。また、周りの草木達もその茎を支え、花を守っている。この可憐で日本的な花、カワラナデシコ、私の好きな花でもある。

ウマノスズクサご存知ですか
多くの皆さんは、何だこの草花は、と思われるのではないでしょうか(私もそう思います)。つる性の植物です。このラッパ(馬の首にかける鈴のよう)のようなものが花です。また、葉を見てみると馬の顔のカタチに似ているから「ウマノスズクサ」と命名されたそうです。(この時期に相応しい雨蛙が葉で休んでいる)
八ヶ岳総合博物館では、こんなウマノスズクサを大切に育てています。それはジャコウアゲハという蝶の幼虫の食草でもあるのです。多くのジャコウアゲハが育ってもらいたいものです。

そして八ヶ岳総合博物館が大切に育てている「ネジバナ」が開花しました。まだ、ねじれが完成していませんが、もう直き、らせん階段の可愛らしいネジバナがあちこちに咲くのでしょう。

キバナノヤマオダマキが旬

5月に白のミヤマオダマキ咲き、それから1ヶ月後、今、キバナノヤマオダマキが、美濃戸で咲き出した。ミヤマオダマキは、繊細で可憐さを感じたが、キバナノヤマオダマキは、やはり山に咲くワイルドさを感じる花だ。しかし、触ると壊れそうでそっとしておきたい花である。


1ヶ月前に咲いたミヤマオダマキ


美濃戸は今、風に乗って良い香りがする・・・
この梅雨の時期、湿った風に乗って山の匂いがする。鼻がつんと刺激を受け、それが呼吸器全体を浄化してくれるような感じがする。何の香り??クルマに乗って窓を開けるとまた、同じ香りが・・・その香りに誘われてクルマを降りてその香りの元はと探してみると・・・ノイバラであった。刺があり、厄介なノイバラと思っていたら、こんな気持ちのよい香りを発散してくれている。シューベルトの「野バラ」の曲を思い出した。この鬱陶しい梅雨時に感謝したい。


八ヶ岳総合博物館での「苔玉づくり」講習会に参加して・・・
博物館での「苔玉づくり」講習会は、人気の講習会で多くの方が参加された。今回は「釣り忍」を造った。「釣り忍」は、忍(シダ類)を山苔で巻き付けたもので暑い夏を涼しさを感じさせる江戸時代からの夏の風物詩であったようだ。私が造った「釣り忍」は、大きく男らしい暑い力を感じる造形になってしまった。

ウツボ違いのウツボグサ

また、ウツボグサのシーズンになってきたか・・・この梅雨の時期から庭の手入れをしないとあっという間にウツボグサで一面覆われ、他の植物が負けてしまう。そのように繁殖力が強いのでこのウツボグサの語源は、あの大型肉食魚のウツボからきていると思っていた。しかし・・・
そのウツボが名前の由来ではなく、花穂の形が、武士が弓矢を束ねて入れる漆塗りの靭(うつぼ)に似ていることが由来だとのこと。
私もウツボグサを見る目が変わった。
歌人の与謝野晶子は「なつかしき 春の形見か うつぼ草 夏の花かや 紫にして」と春から夏に繋げる花として歌を詠んでいる。確かに梅雨とともに大きく育ち、そしてその紫色の花は、夏の暑さを癒す力がある。
さらに薬草としてそして若葉は天ぷらにして食べると美味しいらしい。
ウツボ違いで変な先入観を持っていたが、大きな誤解であった。


花言葉は、「優しく癒す」
大切に育てよう・・・


梅雨の合間に見えた槍ヶ岳
梅雨で雨が続いているが、そんな中、カラッと青空が覗かせた。北アルプス連峰は、まだ、雪が残っている。そして槍は、空に向け突き上げている。

大泉山の向こうに北アルプス連峰。手前の田んぼは、もう、田植えを終え、稲で水面が見えなくなるまで成長している。